菊池寛「大衆明治史」上下 復刻版

#一冊の良書に詰め込まれた知識と姿勢の価値は無限です。一覧

文豪 菊地寛の「大衆明治史」上下を出品します。

描かれるのは激動の時代を生き抜いた、男たちの人間ドラマ。長編大著上下巻の復刻です。週末の半日でもあれば上下巻一気に読めます。
しかしながら溢れる感動は何物にも勝るでしょう。二読目以降は「大衆」これを意識して読んで下さると幸いです。
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大衆の力、有難さ、恐ろしさを身に染みて知っている、むしろ骨髄にまで刻んできた猶太や西欧米だからこそ「日本人の恐るべき資質と歴史」だけでなく「合い駆ける秋（とき）の勢い、持続、そして記憶」に震えあがっていたのかも知れません、本来そこを知り抜いていた菊池寛や徳富蘇峰とは違って。

明治の日本の国家目標である「国家の信用」と「条約改正」はこの物語の最後、明治史の終焉に及んでやっと完成します。

「陸奥宗光、小村壽太郎などの決死の奮闘によつて條約改正の事が一應完成したのは、その後十年も經った明治三十二年七月のことである。この時治外法權は撤廢され居留地は總てわが地方組織の中に入った。...明治四十四年に至って最後に關税の自由權を完全に外國に認めさせ初めて日本の全面的な對外平等の要求が貫徹されたのであるから殆ど明治史の終焉に及んでやっと日本の國際的平等權が確立したわけである。」「大衆明治史　国民版」154頁

「国家の信用」とは、条約の順守と賠償の支払い並びに借款の償還ですが明治の日本はここに国際法の順守、これも入れている。
　
そしてもう一つの柱が「国家の三要素」たる領域、国民、権力ないし主権を守る力があるかという点。これは防衛力と交戦権の行使という事である。

明治の陸海軍は士卒の端々まで戦時国際法の順守を徹底させた点で西欧列強や清国とは異次元であったと言い切って差し支えないと考えています。

復刻版　菊池寛「大衆明治史　上下」
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